選択理論心理士のナミです。
最近増えているカスタマーハラスメント。
飲食業や小売店などの店員さんが、お客さんから受ける過度なクレームや嫌がらせのことです。
この1年、私が目の当たりにしたことのあるクレームの中で、強烈だったのはこちらです。
近所の飲食店にて。
ソーシャルディスタンスを保つため、お店は席間隔を空けて営業中。
テーブル案内待ちをして座っているお客さんが3組いました。
そこに新しく入ってきたおじいさんが、店員さんを呼びつけました。
「おい!あっちの空いてる席に通せよ!お客様を待たせるな!」
(店員さんはソーシャルディスタンスの説明をする)
「は?頭の悪い店だな、もうちょっと考えろよ!」
「お金を使いにきてやったんだよ、有難いだろう?」
「そういうことがわからないなんて、お前はバカだな!」
「この店の人間はみんなバカなのか?どうしようもないな!」
聞くに堪えない暴言の数々。
無理難題を要求する悪質なクレームで、人格否定までしています。
この状況はどのように分析できるでしょうか。
選択理論心理学をベースにしたカウンセリング(リアリティセラピー)で、カウンセラーはクライアントが何の欲求が強いか、今どういう満たし方をしているのかを確認します。
私は「この人は基本的欲求の中で「力の欲求」が強いな」と感じました。
「力の欲求」とは、「認められたい」「自分に価値を感じたい」という欲求です。
ただ、ここで注意したいのは、欲求の満たし方には「健全な満たし方・不健全な満たし方」があるということです。
- 自分の思い通りに相手を従わせようとする
- 他人を傷つけることで優越感を感じる
- 議論に勝つまで引き下がらない
自分の思い通りにならなくて、イライラしているおじいさん。
自分が軽んじられていると感じたり、要求を受け入れてもらえないと、「力の欲求」が満たせません。
おじいさんは自分の「力の欲求」を満たすために、クレームを言っているのですが、お店の対応を変えることはできないし、店員さんや周りのお客さんを不快にしています。
おじいさんは不健全な満たし方をしてしまっているのです。
「あまりにも酷い・・何か言おうか・・」と私が迷っていたとき、なんとおじいさんは驚きの行動に出ます。
真逆の対応に、びっくり仰天!
おじいさんの後に新しく入ってきたマッチョのお兄さん。
3歳くらいの女の子を抱っこしながら、待機用のソファーの前に立ちました。
すると、おじいさんは「おう、兄ちゃん!ここ座りな!」
お兄さんは最初は遠慮していましたが、おじいさんは機嫌よく席を勧めていました。
「遠慮すんなって!大丈夫だから!」
お兄さんはお礼を言いながら、女の子と一緒に座りました。
- 人の助けになることをする
- 人を傷つけない方法で、自分に価値を見出す
- 勝ち負けではなく、人間関係を優先する
「人の役に立ちたい」これもまた「力の欲求」です。
人に喜ばれることで自分の価値を感じたい。
これは「力の欲求」の健全な満たし方です。
おじいさんやるなぁ!ちょっと尊敬!
周りの人たちも、ホッとしたりニコニコしたり。
世の中で起こる多くの事件やトラブルは、力の欲求が関係していることが多いです。
「力の欲求」を満たそうとして、支配的になったり相手を傷つけると、関係を悪くする可能性が高くなります。
ですが、他の人の力になることで自分の価値を感じることができます。
どのように考えて使うか、どのように満たすかで違いが出るのです。
この日のおじいさんは、その両方を私たちに見せてくれました。
おじいさんはお兄さんに親切にして喜んでもらえたことで満たされたのでしょう、その後は文句を言うことなく、静かに並んでいました。
withコロナ第7回目は「力の欲求を健全に満たす行動を選ぼう」でした。
コロナ禍で、人に対して支配的になっている、八つ当たりをしがち、と感じることがあれば、健全な満たし方について考えてみてください。
では、また!
※この記事は、わたし個人の経験を選択理論心理学に当てはめ、見方を変えたり改善対策している一例です。
力のある男性が幸せになるためには、他の人と同じように、あるいはそれ以上に、選択理論が必要である。彼らの力ゆえに、彼らが選択理論をものにすれば、社会全体が恩恵を受ける。
『グラッサー博士の選択理論』p73
選択理論心理学で考えてみると?