選択理論心理士のナミです。
「家族をどうしても好きになれない」
「家族の中に相性が合わない人がいる」
そういう話を聞くことがあります。
私自身はどうかというと、物心ついたころから社会人になってからもずっと「家族を好き」という気持ちがよくわからず、「家族なんて厄介」「あまり一緒にいたくない」と思うことの方が多かったです。
ケンカも多いし、次から次へと問題が起こり、心配事ばかりでいつもハラハラ。
ひとつ問題が解決して「これからは穏やかに暮らせるかな?」と思っても、また新しい問題が起こって「もう本当に嫌!」となる生活の繰り返し。
家族と過ごすのが嫌だから、友達とばかり遊んでいました。
「家族が大好き」という人がいると、「本当に!?」という疑わしい気持ちと「いいなぁ」というどこか羨ましい気持ち。
「家族が好き!」と言えない自分は冷たいのでしょうか?
「いつも一緒にいる家族を嫌いなんて、寂しいでしょう?」
そんなこと言われたって、あなたの家と私の家は違う。
「両親がいなかったら、自分はいないでしょう?感謝しなきゃ!」
それはそうなんだけど、じゃぁ好き!とはいかない。
「子どもは両親を選んで生まれてくるんだよ!」
うーん、そんなこと覚えていないし、そう言われて気持ちがスッキリ前向きになるわけではない。
「たった3人しかいない兄弟なんだから!」
そんな風に言われたって、特別感が芽生えるわけではない。
どうやったら家族を好きになれるのかわからない。
でも家族のこと、好きになった方がいいんだよね?
選択理論心理学では、人の行動を「行為」「思考」「感情」「生理反応」の4つの要素に分けて「全行動」と呼んでいます。
生活していると、このうちのどれかひとつだけが目立って感じられることがありますが、実は私たちの行動は、つねにこの4つの要素が絡み合っています。
「好き・嫌い」は感情ですが、これは思考と行為にも密接に関係しています。
全行動の特徴とはどんなものなのでしょうか。
- 「感情」と「生理反応」は直接変えることはできない
- 直接変えることができるのは「思考」と「行為」
- 「思考」と「行為」を変えることで、間接的に「感情」と「生理反応」をコントロールすることはできる
全行動の概念を車の動きに例えて見てみましょう。
全行動の4つの要素は4つのタイヤで表すことができます。
車を進めるときに、ハンドルでタイヤの動きをコントロールできるのは前輪である「行為」と「思考」、前輪の進む方向についてくるのは後輪である「感情」と「生理反応」です。
家族が何人かいれば、その中で相性の良し悪しや、好き嫌いが生まれるのはある意味当然です。
好き嫌いは「感情」だから直接は変えられない。
ではどうしたらいいか。
思いやりを持つだったら「思考」「行為」だから変えられることになります。
思いやりを持って接するとしたら?
「好きじゃないときでも、私は家族のことを放っておけないし、家族が困っているときには助けよう」そう考えることはすぐにできました。
そんなふうに思考や行為を変えることで、感情はどう変化したのでしょうか。
「好き」や「嫌い」にこだわっていた感情は、自分にもできることがある・自分が役にたっているという「安心」に変わり、家族と接する態度も穏やかになりました。
「家族を好きになれない」
現実として、そういう悩みを持った人がカウンセリングに来ることは多いそうです。
なかなか表立って出てこない問題ですが、選択理論心理学が解決のヒントになれば嬉しいです。
では、また!
※この記事は、わたし個人の経験を選択理論心理学に当てはめ、見方を変えたり改善対策している一例です。
私たちが直接コントロールできる要素は行為と思考だけである。しかしながら、自分の感情と生理反応のコントロールは、間接的に、私たちが行為と思考をどのように選択するかによって行っている。このように理解することは、私たちを自由にして、コントロールできないものを避けるようにさせる。
『グラッサー博士の選択理論』p553
選択理論心理学で考えてみると?