選択理論心理士のナミです。
父のガンが再発しました。
1回目の発覚と手術は10年前。その頃の私はまだ選択理論心理学を知りませんでした。そして再発した現在。私が心理学を知る前と知ってからの、接し方が変わったお話です。
父の1回目の治療中、私は父と大げんかをして、2年くらい交流が途絶えたことがありました。当時、私と母はこんな調子の父が許せませんでした。
ふつう、主治医の先生から禁煙しろと言われたら「オレもついにタバコをやめるときがきた」ってなるんじゃないの!?今後の生活のことを考えたら、お金のことに慎重になるんじゃないの!?命より大切なものなんて、ないんじゃないの!?どうしてそんなに余裕かましていられるの!?
当時の私の説得の武器は「私は25歳のときにガンの手術と抗がん剤治療をしたことがある」という経験でした。「経験者に諭されたら、さすがに父も「そっか!そうだね!」ってなるでしょう」。
ところが私や母が何を言っても響かない。最初は穏やかに想いを伝えていたのですが、最後は大喧嘩に発展。
命がかかってるんだから、なんとしても不摂生をやめてほしい!父のことを想うからこそ、ケンカになるまで頑張って訴えているのです。どうしてわかってくれないの!?
選択理論心理学を学ぶと「ふつうは」という言葉をあまり使わなくなります。なぜなら、人にはそれぞれ違いがあって、自分と同じ感覚で生きているとは限らないということがわかるからです。
ここでは5つの基本的欲求のうちの「生存の欲求」についてみてみましょう。
飲食や睡眠など生きるために必要な身体的な欲求。安全・安定・健康を重視する。
安心できる環境にいたい・リスクを避けたい・長生きしたい・将来に備えたい・健康を害することをしたくない・お金を計画的に使いたい
人には誰にでもこの欲求が備わっているのですが、この欲求には1~5までの強弱があります。父の生存の欲求を査定をすると、なんと一番低い1。
父の生き方を振り返ってみると・・・
- 大酒飲みでヘビースモーカー
- 消費期限や添加物などを一切気にしない
- あり金はすべて使う、貯金したことがない
- 将来への備えはしていないが、どうにかなると思っている
- いきなり川に飛び込んだり、雑草をその場で食べたり、危険なことも平気
- ケガなんてツバつけとけば治るよ~
- 寒い、暑い、痛い、とか気にならない
こんな感じの生き方です。
私と母はそれぞれ生存の欲求が4と5だったので、安心・安全・健康に関する意識が強い傾向にありました。だから父の感覚が理解できずに衝突していたとわかりました。
この心理学に出会ったとき、父の手術から4年たっていましたが、いつかまた再発するかもしれないと覚悟は持っていました。選択理論を学んだから、そのときがきても、もう大丈夫かな・・?
そんなとき、尊敬する心理学の先生が、カウンセリングロールプレイのデモの中で、生存の欲求の説明をする例えを見せてくれました。
「地上に出てきたセミたち。ガイドがどんな生き方を選ぶかツアーを提案します。どの生き方をするセミが正解ですか?」
「答えは…どんなセミも正解!生き方に違いがあるだけです」
その先生の言葉が当時の私の胸にとても響きました。この時の私は、頭で心理学の理論を理解できている状態から、心の底から腑に落ちて深く納得した状態になりました。感動し過ぎてアナログでイラストを描きました↑笑
父には父の生き方がある。医者や家族から、治療に関する説明や提案はきちんと提供されている。それを受けてどう生きるかを決めるのは父なのです。そのことを認めた上で父の生き方を見守ろう。心からそう思えたので、再発した現在はとても穏やかに父と接しています。
選択理論心理学は「経験則での説得」ではなく、「理論が土台にある強み」があります。誰かの正論を訴えるのではなく、相手の基本的欲求や願いや心地よい行動パターンが何なのかを理解した上で接していきます。
この心理学を学んだことで、「父の生き方は間違っている!」という父を責める気持ちがなくなり、「父のような生き方もあるよね」と父のことを心から認めることができるようになりました。そして何より、10年前とは比較にならないくらいに私自身の気持ちが楽になっており、ストレスを感じることがなくなっています。そして、私と同じように生存の欲求が強い母が不満そうにしているときも「こういう生き方のセミもいるかもね?」と寄り添うことができています。
我が家の色んなセミたち。最期まで選択理論心理学で関わっていこうと思います。
では、また!
※この記事は、わたし個人の経験を選択理論心理学に当てはめ、見方を変えたり改善対策している一例です。
もし、自分の生活を変えることには焦点を当てたくないが、他人の生活を変えようとすることは止めたくない、というのであれば、あなたはずっと惨めな思いをし続けることになるだろう。あなたの人生で大切な人との関係が、望むような状態にないことが不幸の原因なのだ。
『警告 あなたの精神の健康を損なうおそれがありますので精神科には注意しましょう』p148
選択理論心理学で考えてみると?